「忍と最近会ったかね？」


「学部長・・・おはようございます」
「おはよう」
「忍君ですか？まぁ・・・はい」
「元気そうだったか？」
「元気でしたが・・・何か気になることでもあるんですか？」
「いや・・・。
　実は昨日、アイツのケータイに電話したんだが全く出なくてな。
　家にもかけたが留守だった。
　留守電を入れて、今朝かけ直してきたんだが・・・なんだが鼻声でな。
　遊び呆けて風邪でもひいたんじゃないかと」


　忍か？私だ。
　どこに行ってたんだ、ケータイにかけてもでないし。
　お前まさか、夜遊びなんかしてるんじゃないだろうな？


「忍は君に懐いているし、何か知っているかと思ってな」
「あ・・・いえ。
　その、はい、忍君は夜遊びなんかしていません、決して。
　真面目に大学に通っています」
「そうか、なら良いんだが。
　悪いね、君も残業続きで昨日やっと帰れたんだろ？
　たまには息抜きしなさい」


　隣人の宮城君にも、迷惑のかかるようなことをするなよ。


「ありがとうございます」


　朝でも良いから掛け直しなさい、分かったな？
　

「ん？」


　ピー。
　録音、シマシタ。


「そう言えば君も、鼻声だな」
誰にだって　秘密はあるの。